ネパールの複雑すぎる乞食事情

突然ですがみなさんに質問です。

道を歩いていたら、道に乞食が座っていました。
乞食はあなたに向かってお金を恵んでほしいという表情とそぶりをしました。
あなたはお金を渡しますか?

これは人によって答えが違うので、
「絶対にあげない!」という人もいれば、
「困っているんだからあげるよ。」という人もいますし、
「考えたことがないのでわからない」という人もいると思います。

でも僕が直感的に思うのは、多くの人は自分の中で明確な答えはでておらず、いきなり乞食を前にしたらどうしたらいいのかわからず、その場を無言で後にすると思います。僕が初めてネパールを訪れたときはそうでした。明確な答えを見つけるのは正直難しいですよね。。

そこで、今回はみなさんに乞食に遭遇した時の対処を自分で考えてもらえるように、ネパールの乞食の実態について書いていこうと思います。少し長くなりますが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

まず物乞いにはお金を要求してくるパターンと食べ物を要求してくるパターンがあります。多くの場合はお金を要求してきますが、時々食べ物を要求してくる人がいます。

まず、この食べ物を要求してくる人について。
僕は以前こんな話を聞きました。

ある日、道を歩いていると小さな赤ちゃんを背負った女の子が近寄ってきて、「赤ちゃんにミルクを買って」と言ってきました。お金をあげるよりかはいいか。と思い、子供の後についてお店に連れて行ってもらいました。お店に着くや、そのお店で一番高い粉ミルクを要求され、お金を渡すわけじゃないからいいかと思い購入。そこで子供たちとは別れたそうです。しかし別れた後、ふとポケットを確認すると未開封のビスケットがあったのでさっきの子供にあげようと思い、再びお店の方に戻ったそう。すると、さっきの女の子が買ってあげた粉ミルクを同じお店で売っていたのでした。おしまい。

この話はタメル地区でも有名な話で、良く行われているそうなんです。
以前ぼくがブログで紹介した「泣き落とし案内人」もこれと同じですね。高そうなものを買わせて、同じところですぐに売る。

ネパール旅行中、こんなネパール人には注意!!① ”泣き落とし案内人”

2016年6月2日

かなり頭を使った頭脳派の手口です。お金ではなく食べ物を要求してくるけど、結局行きつく先はお金ということです。

次は、お金を要求してくるパターンについて。
みなさんも道を歩いているとよく見かけたり、時には声をかけられたりすると思います。それは大人の女性だったり、高齢者だったり、子供だったり、、、

以前僕が道を歩いているときに偶然こんな光景を見かけました。
よく子供がお金をちょうだいと、ずっとついてくることがあると思いますが、子供たちの上には多くの場合、この写真に写っているようにその子供たちを束ねる中年女性の親玉がいます。これは子供たちからお金を回収しているところ。

最近こんなこともありました。
タメル地区を歩いていたとき、小さな男の子を担いだ女の子が僕に近寄ってきて無言で一枚の紙(役所で書かれたような紙)を渡してきました。中身を友達のネパール人に聞いたのですが、どうやらお家が火事で燃えてしまったと書いているそう。ただ、実はこの紙は闇業者が500ルピーくらいで作った偽物の紙なのだそうです。

また、こんなこともありました。お店にいると同じように一枚の紙を無言で渡してきました。この紙には、「彼は耳が聞こえません。彼は生活するのが大変なので、100ルピーか300ルピー、500ルピーを渡してください」と書いていました。よく見ると、彼の手にはたくさんの100ルピー札が握られていますね。

よく考えてみると乞食のほとんどが障碍者&子供&赤ちゃんを背負った子供or大人の女性なんですよね。
男性健常者はほとんど見かけませんがこれは同情を買いづらいからだそうで、男性よりも女性、女性よりも高齢者や子供、障碍者の方が、より効率的にお金を集められるとされています。男性健常者の乞食には中々お金は集まらないので、同情を買うために自分の体をわざと傷つけ障碍者となって乞食をするという人もいます。

カースト制度が根強く残り、日本の様に国が助けてくれるわけではない社会の中で生きていくための手段として自らの体を傷つける。日本に生まれ育った私たちからすると到底想像もできませんよね。

また、最近こんな記事を読みました。
「インドのあるグループは健常者の体を傷つけて障碍者にさせ、路上においてお金を集めるビジネスをしていました」
ダルバールスクエアやラトナパークなどでよく見かける絵描きのアナンダさんという方もそうだったんじゃないかと言われています。
両手のないネパールの絵描きに、夢の描き方を教わった話

生活していくために自らの体を傷つける人ともいれば、それを利用してお金稼ぎをする組織もある。そしてもともと生まれながらにして障碍を持つ人もいる。複雑ですね。

じゃあ、そもそも乞食は悪いことなのでしょうか?

ただでさえ仕事のないネパールで、体が不自由な人、体に何らかの問題を抱えている人、高齢者にとって職を見つけお金を稼ぐことは非常に難しいと思います。
そういった誰の手助けもない本当に生活に困っている人は物乞いをする以外に選択肢はないと思っているので、そんな人たちには僕は積極的にお金をあげるべきだと思っています。

当たり前ですが、乞食をビジネスにしてはいけないです。
でも、乞食をしていかなければ生きていけない人も必ずいるので、そういった人のために物乞いというものは存在しなければいけないんじゃないかと思っています。そして、乞食をしている人は働き口がなくどうやってお金を稼いでいいのかわからない人が行っていることが多いので、彼らに働くためのスキルと場所を誰かが提供しなければいけないんです。

難しい問題ではありますが、実際に乞食を目の前にしてお金をあげた方が良いと思えばあげるべきですし、あげるべきではないと判断したときには無言でその場を離れればいいと思います。

ただ、何も考えずに「乞食なんて絶対に相手にしちゃダメ!」という風に、乞食に対して常に否定的な考えを持つことだけはしてほしくないです。

2 件のコメント

  • コメントが二回目のはずなんですが、前の名前を忘れたので違う名前でこんにちは。
    物乞いの子供たちの集団に追いはぎにあったことがあります。その時は周囲の通行人がこどもから私の荷物を取り返してくれ、その場で子供がふっとぶぐらい何回も平手打ちされて私が止めに入るほどでした。自宅近所で何度か小額紙幣を渡していた子供も混じっていたのでお財布のなかにまとまった金額(と言っても数千ルピー)が見えていたんでしょうね。それ以来近所の物乞いには絶対になにも渡さず、出先で、かつカラオケや太鼓などなにか芸をやっている彼らの芸事に対して感心すれば「投げ銭」を渡すことはあります。それだったらwinwinで気持ちいいので。

    • そんなことがあったんですね…。子供たちにしつこく付きまとわれたり、触ってくるといった話しはよく聞くのですが、追いはぎにあったというのを実際に聞くのは初めてです。近所でお金を何度も渡す行為はかなり危険そうですね。あの人は何度もお金をくれる優しい人だから何をしても大丈夫だろうと考えたのでしょうか。。
      僕も何か芸をやっている人にはよくお金を落とします。その人たちは物乞いというよりはパフォーマーという方が正しい呼び方なのかもしれません。

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